昨夜、不思議な夢を見ました。
夢の中で私は16歳の不良少女です。
私には親もなく、住む家もなく、お金もなく、何もありません。
勿論怖いものもなく、悪い事を平気でやります。
そして、指名手配されてしまうのです。
少年院に入るなんて嫌だ。
私は逃げ回り、疲れ果て、お腹も空き、山の中にある定食屋に入った所、つけたままのテレビに刑事が出て、私に呼びかけています。
その刑事は何故か俳優のキムタクさんでした。
「もう逃げなくていい。君がこれまでどんなにつらかったか、さびしかったか、俺はよく分かっている。これからは俺が君を擁護する。だから安心して出てきなさい」
どうしてキムタクさんが刑事になっているんだろうと不思議に思っていると、定食屋のお婆さんが定食を運んできてこう言いました。
「あんた、これは食べていきなさい」
そしてお爺さんまでやって来て私の肩に手を置き、優しい声でこう言いました。
「あんたがこれを食べ終わるまで、待っていてもらうから」
定食を食べ終わった私に、お爺さんとお婆さんは慈愛に満ちた眼差しで
「お代はいいから」
と言ってくれました。
「いえ、そういう訳にいきません」
私は散々悪い事をしたくせに、そこだけ妙に律儀になり、お代を払いました。
定食屋を出ると、そこにはパトカーがたくさん待ち構えていました。
いちばん前にキムタクさんが立っています。
私はキムタクさんの前に歩み寄ります。
そしてしばしの間、キムタクさんとお互いの目をきちんと見て、どちらからともなく、こくんと頷き合いました。
車の後部座席でキムタクさんは私にこう言いました。
「これから裁判所に向かう。それまで安心して俺の肩で眠っていろ」
私はすべてをゆだねるつもりでキムタクさんの肩にもたれ、
ただ静かに眠り落ちました。
私たちの乗っている車の前後を、まるで護るかのようにたくさんのパトカーが走っています。
裁判所に着くと、たくさんの報道陣が待ち構えていました。
キムタクさんは漲った顔でこう言いました。
「さあ、これからが勝負だ。俺も一緒に闘う」
その言葉に勇気を得た私は大きく頷き、
これまでにやってしまった悪い事を償う為、
弱い自分と闘う為、
輝かしい未来の為、
今度は私が誰かを護る為、
力強く立ち上がり、裁判所の入り口へ向かうのでした。
…目覚めてからもしばらく現実との区別がつかず、
本当に裁判を受けなくてはいけないような気がしていました。
ああ不思議な夢。